奈良のはなし

伎芸天様と菩提樹の木

2016.01.04
伎芸天様と菩提樹の木

<秋篠寺>。私が奈良で好きなお寺の中のひとつです。ここには日本で一体のみの現存する技芸の天女様がいらっしゃいます。伎芸天様は、シヴァ神が天界で器楽に興じている時髪の生え際から誕生した天女と言われ、容姿端麗で器楽の技芸が群を抜いていたため、技芸修達の守護善神とされています。毎年、技芸の天女様を訪ね一年の技芸の成功をお祈りします。写真は釈迦が悟りを開いたと言われる菩提樹と本堂。

東大寺万灯供養会

2015.08.15
東大寺万灯供養会

盂蘭盆は一年で最も魅力的な奈良が味わえる時だと思っています。フィールドリサーチに忙しくなる時期でもありますが、8月15日の夜はただ儀礼の情緒に息を呑みます。東大寺万灯供養会では、大仏殿のまわりに2500基の灯籠が並び、大仏殿正面の観相窓が開いて、大仏さまのお顔が灯火に浮かび上がります。殿内では僧侶が『華厳経』を読誦して法要をいとなみ、三界の諸霊の追善供養を行います。光、音、香が圧倒的な場の空気を創出する、他に類を見る事のない時です。

春日大社万灯篭

2015.08.14
春日大社万灯篭

春日大社万灯篭では、境内の灯篭は石灯篭、釣灯篭合わせて3000基以上にもなり、回廊では朱塗りの鮮やかが仄かに照らされます。現在は年に2回ですが、明治以前は毎日灯を入れていたそうです。現代ではつくることのできない崇高な空間です。写真は神使である鹿の灯篭。