光のはなし
お盆は奈良で一番燈火が似合う時。私達が扱う光という素材は、機能や表現を超えて、祈りや魂と繋がっていきます。いつの時も人々の心には燈火が宿ります。
東大寺南大門はその門に一体何人の人を通して来たのでしょう。種に染まっていた門も今は茶色に朽ち果てている。きっとこの世の中の幾つもの諸行無常を見てきたことでしょう。
メトロポリタンの包み込む様な表裏一体の構造形状は、その空間の中心位置に発光体があると、とてつもなく大きな半セードの様な役割を果たします。縦の洞窟は屋上まで繋がり、横の洞窟は反対の表層まで繋がっているため、光が途中で途切れることなく、内面の光はひたすらにきれいなグラデーションを作ります。この建築に合った美しい光の表現でした。